オンライン報告書 - 2005 年訪ロ企画 - ディスカッション

テーマ「オリンピック」

はじめに

今年は 2012 年のオリンピックの開催地を決める重要な年でした。しかも、その候補地に名乗りを上げたのは大国ばかり。そしてその中にはロシア (モスクワ) もいました。惜しくも、私たちがロシアへ行く 1 ヶ月前の IOC 総会の決定により、「2012 年モスクワオリンピック」が現実にならなかったものの、ロシアも含めたその大国同士の PR 戦はマスコミを騒がし、全世界の注目の的となったのです。しかし、それは何のためだったのでしょう?

そして、近代オリンピックが始まってから今年で 113 年。その長い間、「オリンピック」は世界情勢などに揺れ動かされながら続いてきました。その意義はどのようなものに変化していったのでしょう?あるいは、同じ時代であっても、ロシアにとっての「オリンピック」、日本にとっての「オリンピック」は異なるかもしれません。このように、「オリンピック」を多様的にとらえて意見を聞けたらと思います。

自国でオリンピックを開催したいか。

  • 【賛成意見】
    • ノヴォシビルスクでは無理だろうが、モスクワならできると思う。(ロシア人)
    • 政治的立場が強くなる。(ロ)
  • 【反対意見】
    • 開催終了後は赤字経営になり施設の維持が困難になるから。(日本人)
      ⇒他の事にも使用できるなど、前向きに考える人も多かった。

1. 主に政治的、社会的視点から。

今までのオリンピックの歴史 (ex, モスクワオリンピック) もふまえて、オリンピックは世界平和に通じると思うか否か。

  • 【思う】
    • 古代オリンピックの目的はそうだった。しかし最近はどの国で開催するかなど対立が生まれてしまった。色々な国の人が集まるから、どんな性格を持つのかわかる。少なくともポジティブに働くと思う。(ロ)
  • 【思わない】
    • そもそも世界平和の定義が曖昧だが、いずれにしても地球上から武器がなくなることはない。オリンピックと世界平和は関係ない。(ロ)

国別で対戦する意味はあるだろうか?

  • 【意味がある】
    • 愛国心が高揚する。モスクワで開催したらロシアに外国人は興味を持つ。(ロ)
  • 【意味がない】
    • 愛国心が悪い方向に働くかもしれない。(ロ)
    • 勝った国が負けた国に攻撃を受けたことがあるが、めったにおきないこと。(ロ)

2. 主に経済的、商業的視点から。

商業目的でオリンピックを開くことについてどのように思うか。赤字になってまで開催すべきか。

  • 【開催すべき】
    • 観光客が集まるし宣伝にもなるので赤字になってまでもやったほうがいい。(ロ)
    • 上手くやれば赤字にならないかもしれない。開催国の運営の仕方次第。実際に儲けた国もある。(日)⇒しかし一時しか経済成長しなかった。
    • 施設作ることで経済の活性化につながる。⇒東京オリンピック時に作られた新幹線は長い目で見てとても効果あった。(日)
    • 経済はオリンピックの目的として重要な要素。⇒一番大事か一番ではないの 2 つで意見が分かれた。
  • 【開催すべきでない】
    • 最近のオリンピックの一番の目的は経済になってきている。(日)

まとめ

  • 経済的な目的を一番に重要視すべきではないが不可欠な要素である。開催国は上手くプランを立て経済成長にいい影響を与えることが重要。

モスクワで開催されたらノヴォシビルスクメンバーは行きたいか?また日本人は東京以外の地で開催されたら行きたいか?

  • 【行きたい】
    • 親戚がいるし、きっと楽しい。滅多にないチャンスだから行く。(ロ)
    • テレビよりも迫力があるから見たい。スポーツは生で見たい。国内なら近い。(日)
  • 【行きたくない】
    • 大学で勉強をしなければならない。そもそもモスクワが好きではない。(ロ)
    • 興味がないから行かない。(日)
  • ⇒ロシア人はほとんどの人がいかないと答えたが、日本人はほとんどがお金をかけてでも行きたいと答えた。

3. その他

エリート教育

  • ロシアでのエリート教育について
    • 例えば、有名なサッカー選手は普通の学校へは行かずにずっとサッカー。小さい頃から自分の意志で始めた。家族とはほとんど離れて暮らしている。
    • ロシアにはエリートのための学校がある。ソ連時代の方が多かった。今は減少傾向を過ぎ逓増傾向。
    • 能力があるならそれに合わせた特別な教育を受けた方がいい。国益にもなる。
    • エリート教育が衰退していくことでメダル獲得数も下がるのは大きな問題。対策はないがなんとかしてほしい。
  • エリート教育の悪い点
    • ロシアでは小さい頃から特別な薬を飲む。これは背を伸ばしたり、健康にいい影響を与えるが後に悪い影響を与える。中には許可されていない薬もある。
      ⇒オリンピックは薬を作る人のための戦いという見方もある。
    • 小さい頃から自分の意志でスポーツをしたくなる子はほとんどいない。親に人生を洗濯させられてしまった。⇒きっかけは親の意志でも続けることは自分の意志であるという意見の人もいた。
  • 日本でのエリート教育について
    • 日本はむしろ増えてきている。
    • 強化指定選手という制度はアテネで成功した。⇒好きでやっているなら活動しやすい環境を整えてあげた方がいい。

金メダルの価値

  • ロシアでは英雄、誇り、愛。称号はない。
  • 引退後は特に援助もなく放置されている。
  • 将来いい仕事に就けるかもしれないけど、引退後の問題は消えない。
  • 日本では金メダル 300 万円、銀メダル 200 万円、銅メダル 100 万円。ロシアでは種目によるが 5 万ドルくらい。
  • 日本では国からよりも企業からお金を沢山もらえる。
  • 日本のように引退後にタレントとして活躍することはロシアではほぼない。
  • 空港である日本人選手は電話ボックスに金メダルを忘れた人がいる。⇒彼にとって金メダルの価値はその程度だったのろう。

ライバル視してしまう国

  • ロシアにとってのライバル国
    • アメリカ (アイスホッケー、フィギア)、中国 (バレーボール)、オーストラリア (水泳←以前はロシアは強かった。)
    • 日本のフィギアにライバル意識は持っていない。
  • 日本にとってのライバル国
    • ロシア (フィギア)
    • 日本はアジアの中で一番でありたい。
  • まとめ
    • ロシアにとってのライバル国は意外な国が多かったが、日本とロシアでは得意な興味が違うのでロシアは日本にライバル意識がなかったのだろう。

新しく導入したい種目

  • 野球 (2010 年から無くなる) 相撲、格闘技、剣道

今までのディスカッションをふまえて再び質問:自国でオリンピックを開催したいか

  • ロシア人の意見
    • 準備がきちんと整っているなら開催したい。
    • モスクワ以外でなら開催してほしい。
    • 冬季オリンピックを開催したい。
    • ノヴォシビルスクでの可能性は少ないが、できるならやってほしい。
    • ノヴォシビルスクの冬は寒すぎて冬季オリンピックは無理だろう。
    • ⇒このように、皆ロシアでの開催を希望していた。
  • 日本人の意見
    • 大阪でやってほしい。
    • 広島なら同時に平和について考えることもできると思う。
    • 地元で開催すると交通渋滞などによりいつもの平穏な暮らしが妨げられるので反対。
    • ⇒ほとんどの人が日本での開催を希望していた。

感想

今年は 2012 年に開催されるオリンピックの候補地を選ぶ年であった。残念ながら落選したが、それにモスクワも立候補していたので今回のディスカッションではオリンピックをテーマの一つにした。ロシアでも今回モスクワは選ばれないだろうという考えがほとんどであったようだ。それでも多くのロシア人がもし開催地に選ばれれば、自国での開催を歓迎するという意見であったのは日本と同じであった。オリンピックと経済、政治面での関わりなどを話し合うことができ、面白いディスカッションとなった。

総評

今回は多様的に「オリンピック」を見るということで 3 つの視点に分けて話し合いました。政治的・社会的、経済的・商業的、スポーツとして、です。この中でもっとも意見が活発にでたのはやはり「スポーツとして」での「新しい種目にするべきなのは?」や「最も気合の入る種目は?」などといった質問で、やはり「スポーツ」としてのオリンピックが現代でも最も意義を占めていることに私は少し安心しました。もともと「オリンピック」はその意義であったからです。

しかし、一方で「平和の祭典と言えるか?」や「なぜアメリカがロシアのライバル国なのか?」という質問ではさすがに政治色を隠し切れず、今でも政治に振り回されるオリンピックを確信しました。しかし、経済の分野で「赤字になってもするべきか?」などといった質問の時には「お金も大切だがもともとのオリンピックの意義ではない」という意見もみられ、経済癒着は政治癒着ほど深刻でないことがわかりました。

このように、全体的に「オリンピックの意義」についてさまざまな方面から皆で話し合えたと思います。その結果、現代のオリンピックの悪い点も多く見えましたが、「今まで知らなかった国を知ることができる」などの長い目で見ると「世界平和」への意義もみられることにより、私たちは現代のオリンピックは悪い点以上に良い点もたくさんあるという総意に達しました。その総意ができたことにより、さらにオリンピックが意味あるものに見えてきたと思います。