オンライン報告書 - 2005 年訪ロ企画 - ディスカッション
テーマ「結婚」
リャザン編
伝統と儀式 Traditions and Ceremonies
- 伝統的習慣では神社で結婚式 (日本)
- registration (登記) してから教会へ行く (ロシア)
現在の結婚式
- 現在はあまり神社へは行かない。挙式は高価なので、式を挙げない人もいる (日)
結婚と宗教 Marriage and religion
- 教会で挙げたかったら違う宗教は不可 (ロ)
- 結婚式場で挙式する場合、宗教は問題にならない (日)
結婚適齢期 The optimum age for getting married
- 29 歳が deadline というイメージがあり、「負け犬」の概念が流布している (日)
- 女性の人口のほうが多いので結婚できなくても負け犬ではない (ロ)
- 年齢差のある結婚、15 歳ぐらいで結婚する shot gun marriage もある (ロ)
子供 Having a child
- 昔は大家族が普通⇒今は少子化 (日・ロ)
- 原因:コストがかかる (日・ロ)、土地が少ない、女性の社会進出 (日)
離婚 divorce
- 離婚に対してさほど風当たりは強くない。気の合う人と一緒にいるほうがいい (ロ)
- 人々の離婚にもつイメージは悪く、ロシアと比べて離婚率は低い (日)
- 原因:女性にとっての離婚後の生活への不安
ノヴォシビルスク編
ほとんどの人が経験するであろう、重要で興味あるテーマ、"結婚"について考えた。今回のディスカッションでは、日本で最近騒がれている、30 歳代の独身、子供なしの女性を指す「負け犬」についても話し合ってみた。
Q1, いつ結婚したいか?
- 独立した生活を得てから、キャリアを築きたい (ロ)
- 自分の時間がほしいので、大学を卒業して 10 年ほどしてから (日)
- ロシアでは男性により頼っていた昔のほうが若く結婚することが多かった。しかし、現在でもまだ、20 ~ 25 歳で結婚する人がたくさんいる。少数意見として一人で暮らすのは大変だから、すぐに結婚したいというのもあった。
Q2, 国際結婚について
- 愛情が一番大事だから問題はない⇔文化の違い、主観の違いは大きな問題 (ロ)
- 普通の結婚と同じ。親は良く思わないかもしれない。言葉が通じれば OK (日)
- 近年は日ロ両国で国際結婚は増加している。日本人側では、文化の違いは大きいから、外国人との結婚はちょっと考えられないという人もいた。ロシアではよい暮らしをしたい女性はよく外国人の男性と結婚するという意見もあった。国際結婚をしたいかどうかという質問には、愛していれば結婚したいという意見が大半で、日本人側からは自分自身の問題にはならないが、家族の問題にはなるという意見があった。
Q3, お金持ちとの結婚
- 一部の女性はお金持ちと結婚したがる⇔お金よりも愛情が大事 (ロ)
- 是非したい⇔相手に依存したくないので、あまりしたくない (日)
Q4, 平均結婚年齢
- 20 代前半が多く、33 歳までにはほとんど結婚している (ロ)
- 男性は 30 歳、女性は 27 歳ぐらい (日)
Q5, 負け犬論
- 数が女性のほうが多いので、あまるのは仕方がない (ロ)
⇒日本では時々社会の目が厳すぎるのでそういう意識が生まれたのではないか。 - 本人が満足しているならそれでいい⇔得るものが多いので結婚した方がいい (日)
Q6, 家族との同居
- 別々に暮らしたい (日・ロ)
- 家賃が高いので同居も多い。祖父母が近くにいれば、子育てを助けてくれる (ロ)
- 昔は代々続く家を継ぐために、婿入りなどがあった (日)
- 両国とも核家族が増えている。別々に暮らしたいという意見はお互いに多かった。
Q7, 共稼ぎ
- 一般的。子供ができたら祖母に世話をお願いするので女性は働き続けられる (ロ)
- 女性は結婚や出産を契機に仕事をやめてしまう (日)
- DINKS (子供を持たない共働きの夫婦) が増えてきている (日)
Q8, お見合い結婚
- 昔はあったが最近は少ない (日・ロ)
- 最近は斡旋会社やカップリングパーティなどを利用する人が多い (日)
- お見合い結婚はかっこ悪いというのが双方にあるようだ。
Q9, 学生結婚
- 学生結婚は珍しくない。親が面倒を見てくれるので、勉強との両立が可能 (ロ)
- 学生結婚は珍しい。金銭的な問題があり、面倒も自分で見るのが普通 (日)
- お互いに学生結婚は問題が多くあるという考えだった。例えば、勉強ができない、お金がないという点である。子供ができたから結婚するというのも多かった。
Q10, 結婚して得られるもの・失うもの
- 失うもの
- 自由な時間 (日・ロ)、自分の考え方、出会い (ロ)
- 最初の気持ち、結婚しないで仕事をしていたら得られたであろうキャリア (日)
- 得るもの
- 幸せな家庭、新たな価値観 (ロ)
- 幸せ、安らぎ・安定、学ぶことが多い (日)
Q11, 出生率
- 子育てにお金や世話がかかるので、1 人か 2 人の子供を持つのが普通 (ロ)
- 1 ~ 3 人兄弟が一般的。出生率は低下している (日)
Q12, 母子家庭
- 母子家庭を支援するために政府から援助を受けられるが、十分でない (日・ロ)
- 離婚が多いので、母子家庭も多い。共働きが多いので、離婚しても収入はある (ロ)
- 若い内に子供を持つと、母親は学校に行けず、よい職に就けない (日)
Q13, 同棲
- 家賃が高いこともあり、部屋をシェアする形で同棲するカップルが多い (ロ)
- 家族がよく思わないことが多い。世間の目が厳しい。同棲することに抵抗あり (日)
感想
結婚という議題の影に大きな宗教の存在を見た気がした。今回のディスカッションはまずロシア人側がロシアの伝統的な結婚式について紹介することから始まったが、たちまちそう感じずにはいられなかった。その違いを文化や伝統の違いと言ってもいいが、私はそのとき宗教の違いを強く感じたのだった。それは人生の中でも大きな行事は、宗教を信仰している人の場合、宗教と深い関わりを持つからだ。例えば生まれた後の洗礼や死後の埋葬などの取り行い、それから結婚式。
ところが日本ではほとんどの人が無宗教のため、こういった行事においていろいろな宗教をつまみ食いしていることが多い。生まれて間もなくお宮参りに行き、人生の晴れ舞台にウェディングドレスを着て、死んだら仏壇に入るなんていうのは日本人の典型だ。このように日本では日本古来あるものと中国や朝鮮半島から伝えられたものやヨーロッパなどから伝えられたものが混在している。そのおかげで白無垢を着るかウェディングドレスを着るか選ぶことができるということもあるが...。
ヨーロッパスタイルとロシアの伝統的なスタイルを比べると、白を珍重したりブーケを投げたりといくつか似ている点がある。しかし、花嫁を隠したり踊ったりするのは初耳だった。やはりこれはロシア正教がキリスト教であって、カトリックやプロテスタントとは異なることをあらわしているように思える。このような結婚からみるロシアと日本やヨーロッパの類似性や差異性を感じることができて私はうれしかった。
ロシアの人々はこのスタイルで結婚式を行っているのだから、ディスカッションに参加したロシア人側も日本のこういったスタイルを知って新たな発見があったとともに双方にとってとても意義のあるディスカッションになったのではないかと思う。教科書に書かれた文章からではなく直接ロシア人からこうしたロシア人にとって当たり前のことを聞き、それを通して宗教や文化の違い、考え方の違いを知ることはとても好奇心がかきたてられることであったし、私の視野を広げてくれるいい経験になったと思う。
総評
結婚についてのディスカッションをリャザンとノヴォシビルスクで行った。使用言語はリャザンでは英語、ノヴォシビルスクでは日本語だった。リャザンでは 2 つのグループに分かれて議論した。ノヴォシビルスクでは、1 回目は全員で集まって話し合いをし、2 回目はシベリア・北海道文化センターで開かれている日本語集中講座の受講生を含めた合同ディスカッションとなった。同じロシアでも、リャザンとノヴォシビルスクとでは、ロシア人の結婚観はかなり違うという印象を受けた。ロシアの広さを実感した。
結婚の制度はロシアと日本とで大きく違った。リャザンメンバーは、外国語である英語で、ロシアの結婚式について丁寧に、一生懸命に伝えてくれた。ノヴォシビルスクでは、日本人の負け犬観をテーマの一つとして取り上げた。"ロシアでは多様な価値観が認められるから、負け犬観のようなものはない。日本人は縛りが多くて大変だと思う。"というあるロシア人メンバーの発言が印象的だった。