オンライン報告書 - 2004 年訪日企画 - 企業訪問をして

私たちは交流プログラムのなかに「企業訪問」という企画を盛り込んでいます。これは、日本人メンバー・ロシア人メンバーが一緒に、実際の社会の動向に触れるということを目的としています。ディスカッションを通してお互いの国の問題点などについて話し合い、さらに実際今社会ではどういう動きがあるのかということを体験するというものです。会社・機関などで現在ご活躍なさっている方々からお話を聞くことは、私たち学生にとってとても刺激になるものです。

今回の訪問先はディスカッションの 3 テーマ「外国語」「環境問題」「文化」をもとに、それぞれの分野でロシアと関係のある企業・機関を訪問させていただきました。

外国語: 語学番組を多く放送している NHK。

環境問題: モスクワ市でペットボトルリサイクル事業を展開しようとしている住友商事、株式会社アイエス、株式会社ペットリバース。

文化: 2003 年に「ロシアにおける日本文化フェスティバル 2003」を開催した外務省。

快く私たちの訪問を受け入れていただいたことに感謝しています。ありがとうございました。

住友商事・アイエス・ペットリバース ~ モスクワでのペットボトルリサイクルの可能性

私たちは、住友商事がペットボトル再利用に関する事業をモスクワにも拡大しようと努めているというニュースを聞き、それに伴い川崎にあるペットリバースの工場にて住友商事の方と株式会社アイエスの方からお話をお聞きした。

川崎駅からバスに揺られることしばらく、目的地に近づくにしたがって、しだいに辺りは工場が並ぶ物々しい雰囲気に包まれてきた。ディスカッションでは、私は環境問題に関する基礎知識もなく最も取っ付きづらかった。この企業訪問でも堅苦しい話になるのかなと不安に思っていた。

工場に到着し部屋に通されると、各机の上には一人一人に企業説明に冊子と飲み物が。いざ説明が始まってみると、パソコンを使ったプレゼンテーション形式で、図を追いながらの分かりやすい解説。たちまち堅苦しそうなイメージは払拭され、話に聞き入りながらただ感心するばかり。私たちの質問にも丁寧かつ的確に答えてくださり、大変充実した見学になった。

途中休憩時に屋上からの工場風景を見せていただいたが、かなり広い敷地には巨大な機械が立ち並び、そして眺めると緑が多いことには驚かされた。どうやら川崎市の条例により、敷地の 25% を緑地にしなければならないと定められているようだ。

帰り際に工場と緑をバックにみんなで写真撮影。この事業の拡大が、将来的にはペットボトル再利用だけにとどまらず、あらゆる可能性のきっかけになってくれることを期待している。

NHK ~ 外国語教育・日ロ関係の現状

今日はディスカッションのテーマ「外国語」に関して NHK を訪問させていただいた。語学番組担当者の方々と NHK 解説委員の方からお話をいただけるということで、ロシアメンバーのみならず日本メンバーもどんな新しい発見があるだろうと楽しみにしていた。

まずは語学番組に関するお話を伺った。ロシア語講座は 9 つの語学講座の中で、テキストの売り上げからすると一番視聴者が少ないと思われるものの、ロシア語を勉強する人・ロシア語検定を受ける人は少しずつ増えているそうだ。また売り上げが少ないとは言え、ロシア語講座をひやかしで見たり聴いたりする人は少ないので、挫折する人も少ないと伺い妙に納得した。

昔はロシア語を学ぶ人というのは文化・芸術・イデオロギーに興味がある人が多かったが、今ではそういったテーマに偏らず、テレビ講座においてキリル文字の楽しさやロシアの生活様式を伝え、ステレオタイプを取り除く工夫をしているそうだ。普段楽しく見ている番組がどのようなコンセプトを基に作られていたのかが分かり、これからはそのような箇所にも注意して見てみようと思った。

休憩をはさみ、NHK 解説員の方から「日ロ関係の現状について」というテーマでお話を伺った。現在日ロ関係は領土問題を除いて史上最も良い状態にあるそうだ。特に橋本・小渕・森首相はロシアと仲良くしようと努め、領土問題についてもいろいろな提案を出し、平和条約が 2000 年までに締結できるのではないか、と感じさせるほどの勢いもあった。とにかく政治面でも経済面でも交流は深まっているようだ。

一方で一般市民の交流は少ないという問題点もある。ソ連時代には日本人の嫌いな国にソ連が挙げられたが、また興味がある人も多かった。今では互いの関心が低下してきているとのこと。私たちの交流は大切にしなければならないと思った。ロシアはまだ過渡期の時代にあるため、情勢を正しく理解することが必要とのことだった。時間枠いっぱいお話をしてくださり、日ロ関係に何らかの形で携わっていきたい学生が多い私たちにとってはとても濃密で為になる企業訪問であった。この場を借りて感謝の意を述べさせていただきたい。

外務省 ~ ロシアにおける日本ブーム

この日は、夜間に催される当企画のフェアウェルパーティー前の時間に外務省に訪問致しました。外務省に訪問するのは会としては 4 年前の訪日以来となります。外務省という所はなかなか入れるものでもないためか、メンバーたちはいささか緊張しながら、外務省に足を踏み入れました。もちろん話をききにいくのが目的ではありましたが、建物のその立派さに一同驚き、迷路のような内部に迷子にならんとする者までいたとのこと。

していただいたお話は、ロシアで昨年行われた、日本フェスティバルのこと。このイベントの大半はモスクワ・ペテルブルグで開催されており、このようなフェスティバルが実施されていたことを知っていた者はロシア人ではいなかったようでした。その理由は、このフェスティバルがいくらか特異なスタイルをとっていたことにあったようです。そのスタイルとは「ロシアにおける日本文化フェスティバル 2003」の名の下、多くのイベントを、外務省以外の関係団体が企画し (大きいものでは歌舞伎、小さいものでは料理教室のようなものまでありました)、その宣伝と取りまとめを外務省が行うというスタイルでした。

外務省はこのフェスティバルのロゴを作り、公認イベントにはパンフレットなどにロゴを付けていて、フェスティバルということをさほど前面に押し出さず、日本文化の普及を目的とした企画のようでした。莫大な量のイベントがこのフェスティバルの括りに含まれており、よく見ると、ノヴォシビルスクでも開催された、柄本明の一人芝居「タバコの害について」といったものもこの公認イベントに含まれており、メンバーにも見に行った者も実は多くいました。

こういったフェスティバルの成功を見ても、今回も話題にあがった、近年のロシアにおける日本ブームなるものを見ても、ロシア内部から今日本を求める声の大きさを垣間見た気がしました。