オンライン報告書 - 2003 年訪ロ企画 - 訪ロを終えて
ロシアに寄せて...
東京外国語大学 2 年 C. M.
「地球が 100 人の村だったら」という本をご存知でしょうか。初めてその本を読んだとき、私は自分が 100 人の中のほんの 1 割程度の、恵まれた環境に住む人間なのだと思いました。けれど、今回ロシアに行って、改めて自分を取り巻く環境がいかに恵まれているかを実感し、同時にそれに感謝しなくてはならないのだと思いました。
まず、一番切実だったのが、トイレです。日本にはコンビニに入ればいつでも、清潔でトイレットペーパーのある無料のトイレがあります。デパートや学校では言うまでもありません。けれどロシアでは、まずたいていの公衆トイレが有料です。5 ~ 10 ルーブルが相場といったところで、日本円では 20 ~ 40 円ぐらいですが、ロシアでは 5 ルーブルでトロリーバスや地下鉄に乗れてしまうので、そうそう安くはありません。そのうえ、わら半紙のようなゴワゴワのトイレットペーパーは「あればラッキー」で、あってもお金を払うところに置いてあるのをちぎって持って行くのです。また、そのようなトイレもない所では、工事現場にあるようなあの青い仮設トイレが (モスクワのど真ん中でさえも) 堂々とそびえ立っていました。
つぎに、ロシアの店員ですが、噂にたがわず無愛想でした。例外だったのはモスクワのショッピングモール内のフードコートにいた店員たちぐらいでした。それでも特に自分から話し掛けて客を寄せようとすることはありませんでした。近所のスーパーに行けば、「牛乳ください」という客に「○○ルーブル」という一言とともにドンと牛乳をおくような店員が当たり前でした。しかも、混んでいても常に冷静! かつテンポも常に一定! と言う状態でした。
さらにロシアの道路は、一体どうやったらそんなふうに空いたのかというような大きな穴ぼこ (穴ぼこというより局部的な地盤沈下みたいなもの) がやたら多かったです。ロシアのドライバーたちは対向車線も存分に使って、それらを回避して進んで行くのです。交通量の少なめな道路だとゆうに 100 キロは出ているので、ちょっとしたスリルを味わえます。
これだけ聞いてしまうと、ロシアはなんと無茶苦茶な国なのかと思うかもしれませんが、そんなことはないのです。このような環境も、ロシア人は「ニチェボー (大したことないよ)」、「ナルマーリナ (平気平気)」と言って悠然としています。トイレも道もあればいい、店員も商品を売ってくれればそれでいい、そんなふうに考えているのではないでしょうか。
私が思うに、日本人は良い方と、ロシア人は悪い方と、今時分が置かれている状況を比べているような気がします。つまり、日本人は「もっとこうして欲しい」、ロシア人は「前よりは良くなった、ないよりは良い」というふうに考えるのではないでしょうか。私は、どちらが良いとは言えませんが、知らない間に良い環境に甘んじていた自分を振り返る良い機会になったと思います。何かが欠けていればすぐ不満を言うより、ロシア式に考えるほうが、物のありがたみを感じることができるように思いました。
このように、新鮮な考えをもたらしてくれたロシアに心からありがとうと言いたいです。
身近に感じたロシア
国際基督教大学 3 年 S. M.
このホームステイを通じて、さまざまな経験を積むことができたと思いました。これは、普通の旅行などでは決して経験することができないものであると思いました。同じぐらいの年齢の大学生といっしょに、興味深いテーマについてディスカッションをしたり、ロシア人と話したり、ロシア人学生の家族といっしょに過ごしたりすることは、本当に楽しく、良い経験だと思いました。
このホームステイを通じて、多くのロシア人と関わることができました。ロシア人は、とても気さくで、親切な人たちだと思いました。彼らは私たちが楽しく過ごせるように、そしてロシアについて多くのことが学べるように、取り計らってくれました。彼らのおかげで私たち日本人学生はとても楽しく過ごせ、そしてロシアについて多くの知識を、実際の体験を通じて得ることができました。国籍や言語を越えて同じ時間を共有することは、一生心に残るすばらしい経験だと思いました。
ロシアで、実際にロシア語で意思の疎通をしたことは、私のロシア語の能力を高め、また私のロシア語に対する情熱を一段と高めることになりました。この企画全体を通じてロシア語の魅力というものを、再認識することができました。
ロシアという国は、日本人にとって、いまだにとても遠い存在であると思います。現実的に考えてみると、ロシアについての情報を得ることはとても難しいと思います。日本人はロシアに興味をほとんど持っていないため、ロシアに興味を持つ人は、自分から進んでロシアと関わろうとしなければ、ロシアに関する情報を手に入れることができないのではないかと思います。ロシア人学生の家にホームステイするという企画は、ロシアを直接かつ効果的に知る良い方法であると思いました。このプログラムの意義は、まさにその点にあると思います。